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図書館の魔女

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あれはいつのことだったか。

もう随分前にえうりーさんに1つの小説を勧めてもらったことがある。

本のタイトルは「図書館の魔女」

タイトルだけ聞くと図書館に住む魔女が主役でファンタジーなお話が展開されそうに思える。

もちろんこの想像は外れてはいなかった。

実際に図書館に住む魔女は出てくるし、ファンタジーな要素も含まれている。

けれども自分が想像していたファンタジーとは大きく異なっていた。

それも面白い方向に。

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まずこの本は使われる言葉がやたらと難しい。

実際に本に出てくる単語ではないが例を出してみよう。

「檸檬」この文字は読めるだろうか?

僕は檸檬を使った紅茶が好きなので(と言ってもコンビニやスーパーで売ってるめっちゃ有名なやつ)実はこの文字は知っているし読める。

書けと言われると記憶するのに少々時間がかかりそうだけどもw

ちなみにこの漢字の読みはレモン。

さっき僕が言っていたこれを使った紅茶とはレモンティーのこと。

こんな風にカタカナで書いてあればなんてことはない物も容赦なく漢字で書いてある。

しかも初めからルビが振られていない時もある。

この本に対するこだわりのひとつだけど、お陰でやたらと難しいw

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他の人がどうかは知らないが僕の本の読み方だとまずページに書いてある文字を目で追う。

『少女はレモンを手に取った』

すると書いてある通りの情景が頭の中に浮かんでくる。

少女の外見について何か情報があればその情報を自分の頭の中でまとめた少女がレモンを手に取ることになる。

少女の外見についての情報はないけども、口調や行動が既に書かれている時は自分が知っているキャラクターでそういう口調や行動を取るキャラクターのビジュアルを当てはめる。

そうして頭に浮かんだ想像と文の内容が噛み合った時に僕は次の文字を目で追い始める。

なので頭にその情景が浮かばない場合は浮かぶまで何度も同じ行を行ったり来たりして想像力をフル稼働させることになる。

しかしそれが出来るのは書いてある文章が自分の知識の範囲内で構成されている時だけ。

仮に僕が檸檬という漢字を知らなかった場合、少女が手に持っている物が一体何なのかが全く分からなくなる。

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書いてある事がほぼ分かった上で想像出来る人が読めばこういうシーンなのだが、



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ふんわりとしか想像できないとこうなり、



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ほぼ想像できない状態になるとこうなってしまう。



ライトノベルなんかだとこういう状態になることはあまりないかとは思うけど、図書館の魔女ではこうなることもしばしば。

だから面白くないのかと言われればそうではない。

全くもってそうではない。

読解力は多少いるだろうけども。

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図書館の魔女は説明がすごい。

細かい、綿密である。

初めて登場する事柄に関してはこれでもかと言うほど事細かに説明がしてある。

実はそこがすごい。

例えば川が流れていることを文章で伝えたければ 『川が流れている』 これで事足りる。

けれども図書館の魔女だと「どこから流れてきているのか」「いつから流れているのか」「川の水が何に使われているのか」「この川にはどういう歴史があるのか」「水の質」「温度」「音」こういった事が綿密に書き出されている。

この説明の綿密さの何がすごいかと言うのは勘のいい人であればもうお気付きかもしれない。

そう、今言った「どこから流れてきているのか」「いつから流れているのか」「川の水が何に使われているのか」「この川にはどういう歴史があるのか」「水の質」「温度」「音」に対する答えが自分の頭の中に入っていないと説明ができないのだ。

しかし図書館の魔女はどんな場面に置いても答えを持っている。

だからこそ読めば読むほどその世界にはまっていく。

電車の中で通勤中に読んでいるにもかかわらず、周りの音が聞こえなくなってその世界に沈んでいくほど1つのことに集中したのは一体いつぶりだっただろう。

そうなるくらい綿密に世界が語られているのだ。

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図書館の魔女は登場人物も魅力的。

他の本を読んでいると「で、結局この人はなんだったの?どういう人だったの?」というくらい登場する必要を感じない人物が存在することがある。

図書館の魔女にはそういう人物がいなかったように思う。

全ての人物にちゃんと背景があって、心があって、意思がある。

その人物がそこにいる理由。

そこに至った経緯。

それらが詳しく、だけど人物に合わせて説明する情報は省いて。

とても的確な情報量でそのキャラクターのことが説明される。

1度しか登場しない近所のおじさんの説明が2ページに渡って続くことはないのだ。

しかし逆に言えば物語にとって重要な近所のおじさんなのであれば2ページと言わず4ページ使ってでもこの本は近所のおじさんのことを説明するだろう。

この本はそういう本なのだ。

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本当はこの本を読んだ感想をここに事細かに書いてもいい。

だけど本の内容というのは書かれている文と自分の想像力で作られる物語であって実際の”体験”とは少し違う。

一緒にゲームをプレイして同じことを”体験”すれば多少は違えど似た”体験”をすることが出来る。

けれども文と想像力で作られる物語は同じものを読んだとしても全く違う感想を抱くことが多々ある。

似た”体験”を得られない以上は僕が感じた想いをここに書いてもこの本の良さは本当のところでは伝わらない、そんな気がする。

だから感想は書けない。

僕はこの記事を読んで 『図書館の魔女』 に興味を持ってくれた人にこの本を手にとってもらいたい。

共感よりも共有したい。

共有するのに感想を伝えるのはあまりいい方法ではない。ネタバレになりかねないし。

感想を伝え合うのはお互いがこの本を読み終わった時が一番良い。

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図書館の魔女は難しい。

図書館の魔女は綿密。

図書館の魔女の登場人物は魅力的。

今回僕が紹介できたのはこれだけだけど、もし少しでも僕の言葉が誰かの心にひっかかりこの本を取るきっかけになったとしたら、それほど嬉しいことはない。

そしてこの本を読み終えた後に”きり”と片方の口の端を上げてあなたが笑ってみせた時。

その時こそ同じ”体験”をしたことになるに違いない。

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こんなに熱中して本を読んだのは久しぶりでした。

えうりーさん、この本と出会わせてくれてありがとう!



つづく。
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